コロナの時代のロンドン旅行 4日目①2022年4月13日
最終日、ホテルをチェックアウトして荷物を預けてからコートールド・ギャラリー The Courtauld Galleryへ。
印象派のスター絵画「フォリー・ベルジェールのバー」が待っていてくれます。
このマネによる傑作、2019年秋には東京都美術館で開催の「コートールド美術館展 魅惑の印象派」のためルノワール、ドガ、セザンヌなどの印象派名画を引き連れ来日しました。
私も大混雑の入場列を並んで見に行ったものです。コロナ以前ならではの風景ですね。
コートールド・ギャラリー(日本では美術館と訳します)が大規模改修で休館したため、その間ならとキラ星のごとき作品群を貸し出してくれたようです。
コートールドは約3年間の改修工事を経て、昨年11月に再オープンしました。
内装も新しくなり綺麗です。
「アダムとイブ」クラナッハ
印象派コレクションで有名な美術館ですが、それ以外も見ごたえありました。
マネの「フォリー・ベルジェールのバー」も独り占めです。
そして今回、特別展「ヴァン・ゴッホ セルフポートレーツ Van Gogh. Self-Portraits.」が開催中。
ゴッホ美術館やオルセー美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリーなど世界の主要な美術館から借りも借りたり、貸す方も貸す方の名画揃い。
コートールド自身の所蔵品も加え、なんと16点ものゴッホの自画像が一堂に会する世界初の展覧会なのです。
約130年前にゴッホのアトリエを離れて以来、自画像同士はじめての再会となる顔ぶれも多いそう。
展示室はシンプルでこじんまり。
見渡す限りゴッホの自画像。
チケットはSold out 、定員いっぱいのはずですが人の頭で見えないなんてこともなく好きなだけじっくり鑑賞できます。
これでもかと自画像が続きます。素晴らしい...。
これでも一部です...。すべてが1886年から1889年の間の短期間に描かれています。
「耳に包帯をした自画像」
背景には彼に大きな影響を与えた浮世絵が。
コートールド美術館所蔵。なので会期終了後も常設展示されます。
↓この2点、わずか1週間違いで描かれたとのこと。
娘が2月にオランダ旅行でアムステルダム国立美術館とゴッホ美術館を訪れたところ、こちらに貸し出されているため、ゴッホの自画像が欠けていたそうです...。
ロンドンで会えました。
ゴッホ特有の色彩やうねり、歪みは、長らく彼の精神病と結びつけられて来ました。
ですが近年、ゴッホの表現に病気は一切関係ないとの説が研究者より出されています。
彼独特の表現は意図的に計算されたもので、ただひたすら新しい絵画を求め続け、実験をくり返した結果だとのことです。
今回、ゴッホの自画像を一望、短期間にさまざまな表現に挑戦しているのを知ると、こちらの説の方を支持したくなりました。
誰にも描けない自分だけの絵画を、もがき苦しみながら生涯かけて追い求め続けた人だったのですね。
こちら交流のあったラッセルの描いたゴッホ。
なかなかの紳士ぶりではないですか。人からはこう見えるのに、自分の心の眼を通すと違って見えるのが興味深いです。
この特別展「ヴァン・ゴッホ セルフポートレーツ」についても事前に日時指定予約付きオンライン・チケット(常設展も含む)を購入しました。このオンライン・チケット、5月の最終日まですでに全日Sold outで残っていません。
常設展だけでなく人気の特別展も見たい場合は、事前に早めにオンラインで予約しておく方が良いようです。(窓口で当日券があるかは不明)
常設展のみなら今の時期、チケットに余裕があります。平日大人9ポンド、土日11ポンドです。
もともとマネ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌ、ドガのほかルネサンス美術など、所蔵作品の素晴らしさで知られている美術館です。
常設展だけでも、わざわざ時間をさいて訪れる価値が十二分にあります。