コロナの時代のロンドン旅行 旅の雑記④もし旅先でコロナにかかったら
もしも旅先で新型コロナウイルスに感染したら... どうしましょう。
起きては欲しくない事態ですが、もう起きてしまってるようです。
3月末に東京と近県のまん延防止措置が解除され、アメリカへ、ヨーロッパへ、企業の海外出張も一気にという感じで再開されました。
それとともに、「うちの会社の人、向こうでコロナにかかって帰れなくなっちゃった」との声が聞こえて来ます。
無症状だったとしても、出国72時間前のPCR検査で陽性者はあぶり出され、滞在国に足止めされることに。
日本は、出国するのは簡単、入国するのは難しい...。
陽性判明後の過ごし方は、会社のサポートがあっても現地の人と変わらないようで、
軽症・無症状なら自室(ホテルの部屋)で人との接触を避けて過ごし、熱が出たら自分で解熱剤を買いに行って自力で治した、と聞きました。
個人旅行となると、どうなるのだろうとますます心配になりますが...
日本の大手の海外旅行保険は新型コロナウイルス感染症についてもカバーしています。
今回ほど保険が心強かったことはないです。
もし感染したら、キャッシュレス治療の受けられる保険会社提携の病院ではなく、現地のコロナ指定病院に行く可能性があります。そうなった場合でも、治療費を自分で払ったら、後ほど保険から治療費が払い戻しになるそうです。
医師からの指示で滞在を延長した場合、ホテル代や飛行機変更による差額も補償してくれるとのこと。
いざという時に、金銭面では安心かと思われます。
ただしプランにより補償の範囲が異なることもあるので、よく内容を検討してから海外旅行保険を申し込んだ方が良さそうです。
感染後に社会復帰するまでのルールは国によって微妙に異りますが、
それより何より渡航者が日本に帰国するためにはPCR検査の陰性証明が絶対に必要!
症状が無くてもPCR検査で一喜一憂する...
日本に戻って来るのは、本っ当に大変です。
コロナの時代のロンドン旅行 旅の雑記③もはや両替は不要⁉︎
「え〜両替したの? キャッシュ(現金)なんて使わないのに」と娘が言うのです。
実際、ロンドンで現金がどうしても必要だったのは、ホテルでスーツケース3個を部屋まで運んでもらった時、チップのコイン3ポンド分だけでした..。
ロンドン中心部で見かけるのは、カードかスマホでピッとスピーディーに決済する人たち。私もそれに倣って1ポンドの絵葉書を買うにもカードで支払うことに。
お札やコインを触らなくていいし、え〜と50ペンスってどれだっけ、なんて行列で後ろの人を待たせずに済むし、快適です。
さらにコンタクトレス決済なら、サインもpinナンバー(暗証番号)入力も不要、ひらりと端末にかざすだけでスイスイ決済。
... これはこれで不用心な気も。
そこでセキュリティのため、コンタクトレス決済は1回で30ポンドまでと上限が設定されています。
30ポンドを超える場合は、端末にカードを差し入れ、pinナンバーを入力&ポンドか円どちらで決済するか選び画面をタッチします。
この時、円だと割高になることが多いので、ポンドを選択した方が良いようです。
(この手順は、非コンタクトレスのカードでも同様です。)
キャッシュレスから一歩進んで、コンタクトレスが普及しているロンドン。小さな個人商店でも対応できる端末が置かれてました。
コロナの時代にぴったりです。
でも、思い起こすとコロナ以前からとっくにそうでした。
地下鉄・バスにもクレジットカードのタッチで乗れたりと、最先端ですよね。
と言うか、日本が遅れてるのですね。
ロンドンで味をしめ、日本でも支払いにクレジットカードを端末にかざしてみるのですが、エラー。
対応していない端末の多いこと...
結局、カードを差し込み&pinナンバー入力で支払うことになります。
一応はコンタクトレス対応の端末(リップルマークの付いたもの)なのに、使えるブランドが限定されてるのです。
Suicaは結構あちこちでピッとOKなのですが...
あのメジャーな世界的ブランドが使えないって、どういうこと?
日本も海外からの観光客の受け入れを再開するそうですが...
とにかく国際ブランドに対応したコンタクトレス決済端末を、店舗に整備した方が良いのでは。
せっかく買う気満々で世界中から来てくれるのですから〜。
(ロンドンで現金は使わないでカードを使うのが便利と言っても、念のため少しは両替した方が安心ですよね。特に郊外へ足を伸ばすなら、現金は持っておきたいです。残った現金は、帰りのヒースロー空港でお土産に紅茶を買いこむのに役立てました。)
イギリス人はクレジットカードよりデビッドカードを持つ人の方が大多数なのだそうです。
後払いのクレジットカードよりも、銀行の口座残高から即時にお金が落ちるデビットカードを好むのは国民性なのでしょう、きっと。
コロナの時代のロンドン旅行 旅の雑記②交通カードorクレジットカード
改札にクレジットカードをタッチすると、地下鉄とバスに乗れました。
今回のロンドン旅行でびっくり。
だってどのガイドブックを見ても「ロンドンで地下鉄やバスに乗るなら、まず交通パス(オイスターかトラベルカード)を手に入れましょう」って書いてあります。
バスに乗るには、現金が使えないので交通パスが必要。3年前にもバスに乗るために、まずは地下鉄の駅でオイスターを購入したものです。
それが今回、地下鉄の入口で「オイスターを持ってない」と言ったら、娘が「お母さんのそのクレジットカードで入れるよ」と言うではありませんか。
え、嘘でしょ、と半信半疑でVISAカードを改札口のカード読み取り機(黄色い丸)に軽くタッチすると、自動改札のドアがスッ、と開きました。
ロンドン、凄い。進んでる!
ただし、国際標準のコンタクトレス決済対応クレジットカード&デビッドカードに限られます。端末にピッとかざすだけで支払いが完了する、非接触決済可のカードです。
このカード機能を入れたスマホでも、同じように改札を通過できるとのこと。
↓ この波型マーク(リップルマーク)が付いているカードです。
交通パスのオイスターを新規作成すると、手間もかかるし5ポンドのデポジットも必要だし、最後に残金の払い戻し手続きしなくてはいけません。
そんなことより、もしコンタクトレス決済のクレジットカードかデビッドカードを持っているなら、交通パスを買わずにカードを利用するのがお勧めです。
手持ちのカードが使えるか、はじめに地下鉄の改札口で試してみると良いかもしれません。
バスではカードが使えなかった場合、現金使用不可のため交通パスがないと乗車できません。お気をつけて。
地下鉄は、出る時もカードを改札の読み取り機に軽くタッチします。
交通パスと同様、コンタクトレスカードにも1日の上限金額の設定があるようです。
オイスターのように残高不足になることもないのでストレスレス。
やってみると本当に楽です。
それにしても、こんなに便利なこと、ガイドブックにしっかり書いておいてくれるといいのに!
実はだいぶ前から導入されていたようなんです。
図書館で調べたところ、ロンドンのガイドブック5冊中、地球の歩き方2020〜21年版1冊に地下鉄・バスの乗り方ページ2カ所で3、4行さらっと記述されていました。
残りの4冊には記載なし。
コンタクトレス決済があんまり日本で普及していないせいかもしれません。
コロナで普及が進むでしょうか...。
コロナの時代のロンドン旅行 旅の雑記①空港検疫
2年ぶりに海外出張に行くことになった知人に「帰って来た時、空港でどうだった?検疫に時間どれくらいかかる?出国の時は?」と聞かれました。
海外渡航のベテランの人でも、検疫の情報がなくて不安なんだ。やっぱり情報がなさ過ぎる。
それがこのブログを始めたきっかけです。
以下、私の空港検疫はこんな感じでした。
はじめに事前準備のお話から。
《出国前に準備したこと》
まずスマートフォンに以下のアプリをインストールしました。日本の検疫を通過するにはスマホが必要になります。持ってない場合はレンタルするようにと指示が...。空港でレンタルも可能らしいです。
◉入国者健康居所確認アプリ「 My SOS」のインストール&以下を登録。
・パスポートほか個人情報
・質問票
・誓約書
・ワクチン接種証明書
◉接触確認アプリ「COCOA」のインストール。
※ 以上は帰国時までにしておけば大丈夫です。
↓詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
厚労省入国者健康確認センターのマニュアル(詳細版)
https://www.hco.mhlw.go.jp/manual/pdf-jp/detail.pdf
↓ 検疫手続事前登録(ファストトラック)マニュアル
https://teachme.jp/111284/manuals/13655051
《日本出国時》
日本出発時、コロナ関連は何もなし。イギリス到着時も同様でした。
イギリスが入国者への水際措置を全て撤廃したためです。
(昨年、イギリスが入国制限措置を実施していた時期は違いました。日本の空港で出国前にPCR検査証明書等の必要書類の確認がありました。)
《イギリス滞在中》
◉出国前72時間以内にPCR検査を受け、検査証明書を取得。
◉それを「My SOS」に登録して事前審査を完了。これにより「My SOS」の画面が全ての審査完了の証である緑色になりました。
《日本帰国時》
イギリス出発時、JALのチェックイン・カウンターで、「My SOS」は入れてますか?みたいに聞かれました。緑色の画面をチラッと見せたらそれで話しは終わり。「My SOS」の色だけで、書類が揃い審査完了してると分かるので便利です。
ここで必要書類に不備があることが発見されると、帰国便に搭乗できなくなったりするのです...。
ウクライナ情勢の影響で15時間半かけて、JAL直行便にて羽田空港に到着。「これより携帯電話の使用OK」との機内アナウンスを聞いてからスマホを取り出し、
◉位置情報オン
◉「 My SOS」の通知オン、バナーも全部オン
◉「 My SOS」のマイクとカメラ・オン
に設定。
早く家に帰りたいものだから、マニュアルの指示に素直に従います。すみやかに飛行機を降り、乗客でお団子状態になって黙々と空港内を歩き続けると、検疫ゾーンに到着。
ここから検疫関係のチェック・ポイントが始まります。
主なチェック内容は以下です。
◉ 「MySOS」の画面。緑色だと見せるだけで一瞬で終わります。質問票、誓約書、ワクチン接種証明書とPCR検査のチェックが不要になります。
◉「COCOA」をインストールしてるか。
◉スマホで位置情報や通知の設定がオンになってるか。
事前に済ませてあるのでどのポイントもすいすい通過。それよりもポイントからポイントへ、とにかく長い距離をいっぱい歩きました。
あとは以下のペーパーをもらって...
最後の関門、コロナ・ウイルスの検体採取(✳︎)です。
◉プラスチックの注射器のような容器を渡され、中に自分で唾液をためる形式でした。選挙の時の投票ブースをイメージさせる仕切りスペースに入って一人で採取します。
殺風景な壁を見ながら、ドライマウスの人は大変だろうな〜、レモンの写真とか貼っといてあげてないんだ、なんて考えてるうち定量まで到達。
◉提出してから待ち合いスペースに移動、検査結果を待ちます。
大きい病院や薬局によくある数字を表示する大型モニターが設置され、結果が出たら自分の番号が表示される方式でした。
待ってる間にはロンドンのことが思い出され、あ〜あの地下鉄に乗った時、すぐ近くにゴホンゴホン咳する男の人がいたけど大丈夫かなあとか、あのレストランでも隣りのテーブルの女の子が喋りながらずっと咳こんでて弱りもんだったなあとか、不安になることばかり考えてました...。
◉30分ほどして大型モニターに自分の番号が。先に進んだ所にあるカウンターに向かうと...
「はい陰性でした!」と係の方に明るく大きい声で(「おめでとうございます!」の雰囲気で)言われたのでした。
◉最後に、入国審査でこれを見せてください、とピンクの用紙↑をもらい(通過させてOKな人物の証かと)これで検疫がすべて終了しました!
飛行機を降りてから約1時間15分。同じ便の乗客中、前から4分の1あたりで降りています。他の便と重ならず、同じ便の乗客だけでチェック・ポイントを通過できました。
他にも成田空港で検疫体験済みの知人2人から、早めに飛行機を降りて1時間と1時間半だったと聞きました。
ほぼ飛行機を降りた順に検疫手続きになるので、早く帰りたいなら座席指定で出口ドアに近い席にした方が良いかと思います。
まだ到着便が少なく1時間2時間で済むのはいい方かもしれません。便の到着が集中する時間帯や時期だと5時間程度かかることがあります、と成田空港検疫所はHPで警告しています。
遅くなって帰宅の手段がなくなる可能性もあるので注意が必要です。
それにしても、検査結果が判明した際、後ろにも人がいるのに口頭で「陰性でした!」と伝えられたのが気になります。
陽性の場合、どうするのだろう、と。
帰宅してから夫とも話した結果、陽性の人は陽性の人だけでまとめて呼び出しているのではないか、と推察。
そういえば...モニターの数字も時々イレギュラーなのがあったりして、何か意味があるのかと深読みしそうになったりしました。
(✳︎)「検体採取」について。
この「検体採取」が謎で、PCR検査とも抗原検査とも言わず、ただひたすら「検体採取」で通してます。空港検疫体験済みの知人もPCR検査だと思い込んでいました。どうやら実体は「抗原定量検査」というもののよう。もらった用紙に貼られた検査シールにも書いてあります。
従来の抗原検査より精度が高いようですが、「抗原」と付くことで精度が低いと思われるのを避けるためにはっきり言わないのでしょうか...。検査を受ける身としては知っておきたいですよね。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
初めてのブログですが沢山の方にご覧いただいているようで、ありがとうございます。スターを付けて下さった方にも感謝いたします!
すでに魅力的なイギリス旅行記がいくつもあると思いますが、海外旅行解禁後の今ならではの状況をお伝え出来ればと思います。
コロナの時代のロンドン旅行 4日目②2022年4月13日
美術館のカフェで軽くランチした後、シティ(金融街)のスカイ・ガーデン Sky Gardenへ。人気の無料展望台に予約してある時間です。
遠くからでも分かる右のビルの35〜37階。
このビル、その形から通称ウォーキー・トーキー(トランシーバー)。
1階の入場列からIDチェックの後、スマホのオンライン・チケットをタッチして入場ゲートを通過、セキュリティ・チケックを済ませると、35階までエレベーターで。
そこは天井も含めて全面ガラス張り、緑あふれる天空の温室のような空間でした。抜群の眺望を楽しめます。
タワー・ブリッジ
真ん中はロンドン塔
セント・ポール大聖堂とミレニアム・ブリッジ
高さ約310mの高層ビル The Shard
関西国際空港と同じ建築家だそう。
ホームページからの日時指定予約制のため、無料でも入場待ちが短時間で済むのが助かります。3週前分から予約可能、次の予約開始日はHPに掲載。午前〜お昼から先に埋まるので、早めの予約をおススメします。 ↓
https://skygarden.london/booking/
平日などで空きがある場合は予約なしでも入場可(これをWalk in と呼んでます)。
展望チケットが取れなかったら、中のレストランやバーに予約して入るという手もあります。
次には近くのロンドン塔 Tower of Londonへ。こちらもホームページで日時指定予約して行きました。有料、大人29.9ポンドです。
お隣りにはタワー・ブリッジ
小さな子供連れの家族もいっぱい。牢獄として使われ血塗られたイメージのロンドン塔ですが、テーマパーク感覚で見て回れます。日本語のオーディオ・ガイドも役立ちました。
ロンドンを守るための要塞として始まりました。
トレイターズ・ゲート(反逆者の門)
囚人や処刑される者がテムズ川からこの門をくぐり塔内の牢獄に入れられたとのこと。
ホワイト・タワー
甲冑や武具等のほかロンドン塔の歴史を展示。
王室の居城として使われた時期も。
馬にも甲冑が。
セント・ジョン礼拝堂
中世には王族の結婚式も行われたようです。
ビーチャム・タワー
比較的身分の高い囚人が幽閉された塔。
塔内の壁に囚人が自分の名やメッセージを彫った跡が。
ジュエル・ハウス
中世の王室の宝物庫。現在もクラウン・ジュエル(イギリス王室の儀式用の宝石類)の保管場所。
クイーンズ・ハウス
いまでも衛兵とその家族が住んでるそう。
実は今回の旅行でいちばん行きたかったのはこのロンドン塔。数々の歴史や映画の舞台となったのに、まだ一度も訪れてなかった...。
願いが叶い大満足です。
ここでロンドン観光はおしまい。夜の便で帰国します。コロナでなかなか会うことの叶わなかった娘と会えただけでも充分でしたが、あちこち一緒に楽しめて充実の4日間でした。
思いきって来て本当に良かった!!
個人旅行でも全く問題なし!
...と言うにはまだ早い。
この旅の最大にして最後の関門、帰国時の空港での検疫が待っています。
情報不足でミステリー・ゾーン(?)となってるこの日本の空港到着時の検疫についてのお話しを、次回に。
コロナの時代のロンドン旅行 4日目①2022年4月13日
最終日、ホテルをチェックアウトして荷物を預けてからコートールド・ギャラリー The Courtauld Galleryへ。
印象派のスター絵画「フォリー・ベルジェールのバー」が待っていてくれます。
このマネによる傑作、2019年秋には東京都美術館で開催の「コートールド美術館展 魅惑の印象派」のためルノワール、ドガ、セザンヌなどの印象派名画を引き連れ来日しました。
私も大混雑の入場列を並んで見に行ったものです。コロナ以前ならではの風景ですね。
コートールド・ギャラリー(日本では美術館と訳します)が大規模改修で休館したため、その間ならとキラ星のごとき作品群を貸し出してくれたようです。
コートールドは約3年間の改修工事を経て、昨年11月に再オープンしました。
内装も新しくなり綺麗です。
「アダムとイブ」クラナッハ
印象派コレクションで有名な美術館ですが、それ以外も見ごたえありました。
マネの「フォリー・ベルジェールのバー」も独り占めです。
そして今回、特別展「ヴァン・ゴッホ セルフポートレーツ Van Gogh. Self-Portraits.」が開催中。
ゴッホ美術館やオルセー美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリーなど世界の主要な美術館から借りも借りたり、貸す方も貸す方の名画揃い。
コートールド自身の所蔵品も加え、なんと16点ものゴッホの自画像が一堂に会する世界初の展覧会なのです。
約130年前にゴッホのアトリエを離れて以来、自画像同士はじめての再会となる顔ぶれも多いそう。
展示室はシンプルでこじんまり。
見渡す限りゴッホの自画像。
チケットはSold out 、定員いっぱいのはずですが人の頭で見えないなんてこともなく好きなだけじっくり鑑賞できます。
これでもかと自画像が続きます。素晴らしい...。
これでも一部です...。すべてが1886年から1889年の間の短期間に描かれています。
「耳に包帯をした自画像」
背景には彼に大きな影響を与えた浮世絵が。
コートールド美術館所蔵。なので会期終了後も常設展示されます。
↓この2点、わずか1週間違いで描かれたとのこと。
娘が2月にオランダ旅行でアムステルダム国立美術館とゴッホ美術館を訪れたところ、こちらに貸し出されているため、ゴッホの自画像が欠けていたそうです...。
ロンドンで会えました。
ゴッホ特有の色彩やうねり、歪みは、長らく彼の精神病と結びつけられて来ました。
ですが近年、ゴッホの表現に病気は一切関係ないとの説が研究者より出されています。
彼独特の表現は意図的に計算されたもので、ただひたすら新しい絵画を求め続け、実験をくり返した結果だとのことです。
今回、ゴッホの自画像を一望、短期間にさまざまな表現に挑戦しているのを知ると、こちらの説の方を支持したくなりました。
誰にも描けない自分だけの絵画を、もがき苦しみながら生涯かけて追い求め続けた人だったのですね。
こちら交流のあったラッセルの描いたゴッホ。
なかなかの紳士ぶりではないですか。人からはこう見えるのに、自分の心の眼を通すと違って見えるのが興味深いです。
この特別展「ヴァン・ゴッホ セルフポートレーツ」についても事前に日時指定予約付きオンライン・チケット(常設展も含む)を購入しました。このオンライン・チケット、5月の最終日まですでに全日Sold outで残っていません。
常設展だけでなく人気の特別展も見たい場合は、事前に早めにオンラインで予約しておく方が良いようです。(窓口で当日券があるかは不明)
常設展のみなら今の時期、チケットに余裕があります。平日大人9ポンド、土日11ポンドです。
もともとマネ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌ、ドガのほかルネサンス美術など、所蔵作品の素晴らしさで知られている美術館です。
常設展だけでも、わざわざ時間をさいて訪れる価値が十二分にあります。
コロナの時代のロンドン旅行 3日目②2022年4月12日
ランチの後は、ナショナル・ギャラリー The National Galleryへ。
美術館が好きなので気分は聖地巡礼です。
ナショナル・ギャラリー
お向かいはトラファルガー広場
常設展のほか特別展「ラファエロ Raphael」も開催中。事前にオンラインで日時指定予約済みです。
常設展は予約なしでいつでも入場可。しかも無料(寄付は受付け)。手荷物検査を通り、まずはレオナルド・ダ・ヴィンチの部屋を目指します。
ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」
これを見ずにはロンドンから帰れません。
ベラスケスの傑作の数々
レンブラント「34歳の自画像」
フェルメール「ヴァージナルの前に立つ女」
これでもかというくらい名画揃いなので、フェルメールも人が群がらないどころか素通りされています。
「チャールズ一世騎馬像」 ヴァン・ダイク
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」ドラローシュ
中野京子さんの本「怖い絵」で有名になりました。
そのお隣りには、えっ...
「ウェリントン公爵」ゴヤ
つい先日まで公開されていた映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」のもう1人の主役(?)となった絵画です。
年金暮らしのお年寄りがこの絵をナショナル・ギャラリーから勝手にお借りして(盗んで)、「絵画を返して欲しければ、年金受給者のBBCテレビの受信料を無料にせよ!」と要求するストーリー。実話を元にしたそうです。
その中で、盗んでおきながら「大した絵じゃないな」とのセリフがあるのですが...確かにあの偉大なるゴヤの作品にしては....な気も。
盗まれて、映画にもなって、大した絵になったように感じます。
いえ、ナショナル・ギャラリーの名だたる名画の中ではのお話しですが。
予約時間になったので、常設展を出て特別展「ラファエロ Raphael」へ入場します。
こちらは日時指定予約制の有料で平日24ポンド、土日26ポンド。円に換算してしまうとかなりの金額ですね...。(この時期1ポンド=約163円)
ラファエロのパトロンだった「ローマ教皇ユリウス2世の肖像」
ナショナル・ギャラリー自身の所蔵。
「ウルビーノ公ロレンツォ・デ・メディチの肖像」
Private collector所蔵
この作品、な〜ぜか気になると思ったら、2007年ロンドン・クリスティーズのオークションで個人収集家に1,850万ポンドにて落札された作品でした。やはりただならぬ吸引力があったのですね。
それにしても、いったいどこのどなたがお買い上げ?
37歳という若さで死去したラファエロですが、今回の展示作品だけでもその数なんと90作以上!
(それを世界中から集めて来るナショナル・ギャラリーもすごいですが)
ヴァチカン宮殿内に最高傑作「アテネの学堂」などフレスコ画の大作を残したラファエロですが、それ以外にも驚くべき多作ぶりです。(大規模工房を営み分業していたものの)
レオナルド・ダ・ヴィンチなどは、生涯で残した作品数が20点もいかないと言われているのに...。
2人のローマ教皇に重用され、存命中から年若くして高い評価を受けた理由が、今回分かる気がしました。
ひっきりなしの注文に応え、一定水準以上の作品を、最後まで仕上げ、ちゃんと依頼主に渡す。しかも雅やかで穏やかな性格。
取りかかっても最後まで仕上げないダ・ヴィンチとすぐ激昂するミケランジェロとかなり違います。(あくまで素人の感じ方ですが...)
早逝したのが惜しまれます...。
夜は予約開始と同時に一瞬で席が埋まるとの流行りイタリアン・レストラン「Circol Populare」へ。
娘が頑張って予約ゲット。女性同士のグループ、いわゆる「ロンドン版女子会」でいっぱいでした。
カクテルはこんなグラスに入って来ます。
トリュフのパスタとモッツァレラ・ピザを食べ終わり店を出てから、デザートを食べに行くことに。
イタリア・トリノ生まれのオーガニック・ジェラートのお店「GROM」へ向かいます。
この「GROM」、パリやNYでも人気で一時は日本にも進出したものの今は撤退してるようです。
美味しかったので再上陸を願います。
ホテルへの帰途、チャイナタウンを通りがかると大勢の人です。
その先のレスター・スクエアも大賑わい。
地元の人も観光客も家族連れもカップルも。コロナの規制から解放されてみなが人生を楽しんでいる様子です。
片隅ではメアリー・ポピンズ像が微笑んでいました。
明日の夜には帰国ですが、まだまだもう1日楽しみます。